2005年02月07日

田中ユタカ「愛人 AI-REN 5」読了

愛人 -AI・REN- 5 (5)

田中ユタカの全力を振り絞った作品。
と同時に、田中ユタカの表現力の限界を見た気がした。
壮大な世界、極限の設定、究極の悲壮が、単に作品からリアリティを奪っているだけなのが哀しい。

後発の高橋しん「最終兵器彼女」が、完全にバッティングしたテーマを扱いつつ、なおかつ完全に本作を凌駕してしまっていたことが、なおさら哀しい。

田中ユタカの伝えたかったメッセージは、もっとシンプルに表現できるはず。キャラクターたちを極限状況に置いて、その精神を髄まで削り上げなくても、もっと素直に受け止められる形で、表現できたはず。

たろにいじゃないが、たぶん彼の成年コミックのほうが、僕の中では評価しうる。
たとえそれがエロと幸福感のデコレーションでギトギトであっても、メッセージの本質はきちんと嗅ぎ当て得る。それに引き換え、純粋な甘味料は澄んでいるが、苦いものだ。

と同時に、田中ユタカが本作を描かなければいられなかったことも理解できてしまう。冲方丁が「マルドゥック・スクランブル」を書かずにいられなかったのと同じ衝動だ。ただ、冲方が「マルドゥック」を乗り越えてさらに飛躍しようとしているのに対して、田中は本作に潰されてしまった(と僕には感じられる)という差があるだけだ。

んー。

創作に興味が無い人には関係の無い話になってきた気がするので、まとまらないがこの辺にする。

今進んでいるという次回作に期待。

posted by 某ササキ at 21:07| Comment(0) | TrackBack(1) | 今読んでる本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/1859754
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック

「愛人 -AI・REN-」田中ユタカ 成年マンガ家が描いた渾身の「愛」
Excerpt: 愛人 -AI・REN- 5 (5) (ジェッツコミックス)posted with...
Weblog: John's Notes
Tracked: 2008-04-19 09:27
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。